山 秋の気配深まりつつ
使い古したザックで山に入る。
二十年来の相棒である。
昔、バンコクの街を一緒に汗を流して歩き回った記憶が蘇ってくる。
ここ十年以上クローゼットのコンテナの中で眠っていたこともあり、経年劣化で裏側のスポンジが傷み、
細かなカスがぼろぼろと出てきては服に付着する。
でも、それ以外はまったく問題が無い。
朝はまだ時雨。
雨露を充分に享受した葉は生き生きとしている。
山の下の方は色付きがまだもう少し。
展望が開ける峠に出る。
手を伸ばせば届きそうなところで雲のダンスが始まっていた。
思わずイメージするお好み焼きのカツオブシ
一条の落ち葉 長い年月をかけて水流が造った溝に溜まる
八雲ヶ原で秋の共演に出逢う
紅葉の小径 柔らかな地面の曲がり角に沿う
雲は語らず想念は起こらず
肉眼で捉えることのできる目一杯のところに白山のシルエットを見た。
雪を冠るとさらに見つけるのが容易になる。
彼方の白山に少し浮かれる
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